「音の表情」というタイトルをつけてるけど一般的には「音色」とか「音質」と言われる要素。 柔らかい音、硬い音、元気な音、激しい音、優しい音、涼やかな音、ホッとする音・・・etc.etc. 言葉を続ければ切りがないほど、特に日本語の場合は多種多様な表現がなされる要素で、多分に主観的な 感性が含まれるので、ひとつの数字で表すことはできないし、現在考えられている音に関する全ての数字を使っても、 そのすべてを表すことはできない。
すべてを表すことはできないが、その中でも音色を説明する上で重要だといわれるのが、その音の周波数成分だ。その周波数成分について
少し説明しておこう。
楽器である高さの音を出した場合を考えてみよう。
例えばピアノで440Hzのラの音を出したとする。鍵盤をひとつポンと叩くだけだ。実はこの時、ピアノが出している音は
440Hzのラの音だけではないのだ。それ以外にも880Hz、1320Hz、1760Hzなど、音の高さの元になる440Hzの
2倍、3倍、4倍・・・という高さの音も含まれているのだ。時には1/2倍、1/4倍の低い方の音も出ている。
このとき、音の高さの元になる440Hzの音を『基音』といい、それ以外の音、すなわち『基音』の2倍、3倍、4倍・・・(1/2倍、1/3倍、1/4倍・・・)
の音を『倍音』という。特定の倍音を指す場合は、2倍音とか3倍音なんて言い方をする。
つまり、ピアノの鍵盤ひとつだけを弾いたとしても、その音はひとつの周波数(周波数成分)だけ成り立っているわけではない。
多くの周波数の音(周波数成分)が交じり合って初めて、その鍵盤ひとつの音ができあがっているのだ。
例えば、2台のピアノが目の前にあって、同じように弾いてもその音色は微妙に違う。それは周波数成分が違うということを意味する。
つまり、倍音の含まれ具合が違うということだ。それが違う楽器であれば、なおのこと周波数成分は違ってくる。
その違いによって、これはピアノの音だとか、あれはギターの音だとかという区別ができるというわけ。
それ以外にも、音の立ち上がりや立下りといって、音が出始めてから音量が最大になるまでの時間や、その時の音量の上がり具合、
また、音が小さくなり始めてから消えてゆくまでの時間や、その時の音量の下がり具合なんかも音色には関係してくる。時間といっても
1/100秒〜1/1000秒というかなり微妙な時間の話だ。そんなふうに音色がどうやって作られているかを色々考えて機械的に音を合成して
実際の楽器に近い音を作り出そうという試みががシンセサイザーというわけだ。
ちなみに、1つ目の音が鳴り、続いて2つ目の音が鳴るということを考えたときに、1つ目の音と2つ目の音に
どのくらいの時間差があれば2つの音だと聞き分けられると思う? 通常人間が聞き分けられるのは1/20秒くらいだ。
Atsushi Hirai; 2006-01-01 open; 2006-01-01 update Mail to