普段わたしたちが耳で音を聞いているということは、その音の発生源がどこかにあるということだ。発生源としては口(声)、楽器、
スピーカー、動物、モノの衝突、などいろいろある。発生源から出た音はどのような経路を通ってわたしたちの耳に入ってくるの
だろうか? その通り道を考えてみよう。ここでは主に室内について考えてみる。
発生源から出た音は、四方八方に広がる。もちろん口の向いている方向やスピーカーの向いている方向には、よりハッキリと強く
音が出るのは誰しも経験しているところだろう。(そのようにある特定の方向に強弱があることを志向性があるというんだけど、
そのことはここではあえて考えないことにする。)とにかく音は四方八方に広がる。
その四方八方に広がった音の一部は直接耳に届く。これを直接音という。また、直接音以外の音はどうなるだろうか?
直接音以外の音は壁や床や天井、椅子、机、家具、あらゆる方向、あらゆるモノに向かって進んでいく。
それらのモノは音が進むのを妨げるのでここでは障害物と呼ぶことにする。音はやがてその障害物にぶつかる。
ぶつかった音はどうなるだろうか?
ある音は障害物に吸収され、ある音は反射して、再び進む。反射した音の一部はわたしたちの耳に届き、
それ以外はまた障害物に向かって進んでいく。その繰り返しで次第に音は弱められて消えてゆく。
わたしたちの耳には障害物に1回反射した音、2回反射した音、3回反射した音・・・が入ってくる。
そのように反射してわたしたちの耳に入ってくる音を残響音という。
わたしたちは多くの場合、直接音と残響音が混じった音を聞いているということになる。
直接音については、通り道は発生源から耳に向かってくる道ひとつだけだが、残響音に関しては、
音の通り道は無数にあるのだ。