3.音って何?
3.4.音の不思議
3.4.4.マスキング効果
これから勉強していく中で、PAでも録音でも、色々な音を混ぜ合わせる作業というのが出てくる。
例えばマイクで拾った声と、カラオケを混ぜるとか、ピアノとかベースとかギターなどの楽器の音を混ぜるなどなど・・・。
いわゆるミキシングといわれる作業だが、そのときに最も気をつけなければならない現象だ。
大きい音と小さい音が同時になっている場合、小さい音が大きい音に消されてしまうとか、大きい音が鳴った場合、
その前後のわずかな時間は音が消されてしまう。というような現象。このように、ある音によって別の音がマスクされてしまう
ことをマスキング効果(現象)という。[3.4.3カクテルパーティー効果]ではある程度ざわついたところでも、選択して
相手の声を聞くことができるというような話をしたが、そのざわつきがパーティーなんて呼べないくらいに大きいと
会話なんてできる状態じゃなくなるよね。例えば工事現場とか。そんな状態を会話が騒音によってマスキングされて聞こえない状態という。
何でそんなことが重要になってくるかを簡単に説明しよう。
マスキングには大きく分けて音量差によるマスキング効果と時間経過によるマスキング効果がある。
- 音量差によるマスキング
大きな音に小さな音が消される現象。例えばバンド演奏をやった時に、ピアノの音が大き過ぎて、ボーカルが
何言ってんだかわかんない状態。これがピアノによってボーカルがマスキングされている状況だ。これは比較的分かりやすいよね。
でも、ここからが重要。この現象はその音の周波数(音の高さ)が近いほど起こりやすくなる。例えば、バスドラとベースだ。
両方とも低音中心の楽器で、出ている音の高さも同じような場合が多い。この時、バスドラの音でベースが消されてしまうというようなことが
起こりやすい。また、ピアノとボーカルが出ている場合、ピアニストがあまり鍵盤の真ん中付近の音ばっかり弾いていると、ピアノの音が
ちょうど声の高さと同じくらいの音になるので、ピアノの音がボーカルをマスキングしやすくなってしまう。それともうひとつ。低い音は
それより少し高い音をマスキングするが、逆に高い音は少し低い音をマスキングすることはない。
- 時間経過によるマスキング
大きい音が鳴る前後のわずかな時間に鳴っている他の小さい音が消されてしまうという現象。わずかな時間というのは1/100秒〜1/1000秒単位の
話。実際のPAや録音では音量差によるマスキングほど影響はないが、こういうマスキングも現実に起こっている。これはPAや録音で
利用されるというよりも、圧縮オーディオで大いに利用されている。圧縮オーディオは最近パソコンや携帯オーディオプレーヤーでよく使われている
記録方式だ。MP3(mpeg audio layer3)とかWMA(Windows Media Audio)、RA(Real Audio)などという言葉を聞いたことがあるだろうか。
音声信号は普通に記録したのではデータ量が多いので、それをなんとか小さくできないかということでいろんな人やメーカーが試行錯誤した。
その中で、このマスキング効果が注目され、マスキングされて人間に聞こえない音だったら、そのデータ消しちゃってもいいんじゃない?
という発想で人間には聞こえないとされるデータを削除することで、データ量を圧縮して、コンパクトに収まるようにしている。MD(MiniDisk)は
その圧縮オーディオのはしりだ。
Atsushi Hirai; 2006-01-01 open; 2006-01-01 update
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