搬入が終わったら、次は機材の仕込だ。どこまでを仕込みというかは人によってまちまちだろうが、 ここでは、機材を所定の場所に設置して、接続を行い、きちんとつながっているかどうか チェックをするまでを仕込みということにしよう。 仕込み図にしたがってステージ上の各所に楽器やスピーカー、マイクなどを設置する。設置が終わったら 回線表にしたがってインプット回線、アウトプットの回線をつなげていく。たいがいそれと同時進行で ミキサー側で使われる機材の接続も行なわれる。つまり、ステージ側で仕込みをする人と、ミキサー側で 仕込みをする人の2人いれば時間短縮になるといことだ(モニタースピーカー用のミキサー卓が別にある場合は 3人)。
ここで少し一般的なPA業務ではどのような人員構成で行なわれているかを説明しておこう。 たいていは以下のような構成になっている。
ステージからメイン卓位置の間に敷設するマルチケーブルの設置に始まり、メインスピーカーの設置、各楽器の設置、 マイク(マイクスタンド)の設置、モニタースピーカーの設置、パワーアンプの設置、大方こんなところだろう。 お手伝いがいる場合は、いかに各人に分担して効率よく設置を進めるかがステージマンの役目だ。もちろん 自分ひとりで手が足りる場合はひとりで進めることになる。いずれにしても、事前に仕込み図をよく頭に入れて、 なおかつ、確認しながら、間違いのないように行なう。どのように進めるかはステージマン次第だ。ステージ上で準備を 行なうのは、音響だけではない、舞台、照明などの部署も準備を行なう。他の部署との連携も 考えなくてはスムーズに進めることは出来ない。 設置が終われば、それぞれのマイクやスピーカーなどを接続する作業に取り掛かる。このときも、どうやったら回線表どおりに、 間違いなく、スムーズに出来るかを事前に検討しておくことが大切。当日、その場になって回線表とにらめっこしているようでは 先が思いやられるぞ。まぁ、スケジュールに余裕があって、その程度で間に合うならそれでもいいけどね。 いずれにしても最終的にはステージマンが全て確認して仕込み終了となる。
メインミキサー卓もモニターミキサー卓も、設置しただけでは使えない。たいがいその周りには、アウトボードまたは周辺機器と 言われるものを収めたラックが置いてある。イコライザーやコンプレッサーやリバーブなどのエフェクターを収めたものだ。 また、BGMやカラオケ、SE(効果音)などを再生する、CDやMD、サンプラーなんかもあるだろう。収録するとなれば 録音機材も加わる。そして、ステージから送られてくる信号を入力するためのケーブルもあるし、逆にミキサーからステージ上に 送り出すためのケーブルもある。それらを全て接続しなければならない。これはメインミキサーやモニターミキサーの人の役目だ。 接続は全て回線表にそって行なうことになる。もちろん、ステージマンが使用している回線表と同じものだ。回線表は通常ミキサーを担当する 人が書くことになると思うが、何事も計画通りにいかないというのが常というもの。予定していたミキサーのチャンネルの一部が 故障で突然使えなくなったとか、マルチケーブルの回線が1本断線したとか、当日になってゲスト出演が決まり、マイクの追加が必要になった、などなど。 回線の変更を余儀なくされる場合も多々ある。そのような時に、全員が同じ認識を持って回線表を変更しておかなくては スムーズに行かない。その段取りを行なうのもミキサーの役目だ。
さて、接続が全て完了したら、きちんとつながっているかどうかチェックを行なう。それが回線チェックと 言われる作業だ。具体的には各マイクから入力された音がミキサーにきちんと入力されているかを、 全てのマイク(回線)について1本1本確認していく。回線にノイズは乗っていないか、音量レベルは十分か、 変に歪んだりしていないか、など。それがインプット回線チェック。 また、インプットがあるからにはアウトプット回線チェックも当然ある。 こちらは、ミキサーから出力された信号が、きちんとパワーアンプで増幅されて、スピーカーからでているかを 確認する。これも全てのスピーカー一台一台について行なう。スピーカーからノイズは出ていないか、 スピーカーのLRの接続は間違いないか、変な歪みはないか、など。 回線チェックの途中で、ノイズが発見されたり、接続間違いが発見されたりした場合は、 その都度、機材やケーブルを交換したり、接続を見直したりして修正する。 インプット/アウトプットすべての回線について、それらのチェックが終われば、間違いなく 回線表どおり、かつ機材の異常もなく、きちんとつながっていることになる。
以上で仕込みは終了となる。
Atsushi Hirai; 2006-01-01 open; 2006-01-01 update Mail to