6.実際のPAの流れ

6.2.当日の流れ

6.2.3.機材の調整

前に音場補正、ハウリング防止のスピーカーチューニングについて説明したよね。 ここではそのスピーカーのチューニングがメインになる。 ハウスミキサーの人はメインスピーカーのチューニング、モニターミキサーの人は モニタースピーカーのチューニングをそれぞれ行なう。もちろん同時には出来ないので 連携してひとつずつ行なうことになる。ハウスミキサーの場合はたいてい自分が スピーカーの音が一番よく聞こえる位置にいるので、卓位置で声を出したり CDを流したりしながら調整できるけど、モニタースピーカーはそうはいかない。 もし舞台上手の袖にモニター卓があったとして、その卓位置で、舞台下手にいる演奏者に向けた モニタースピーカーの音量、音質は調節できないからね。この時には2人必要になる。 実際にモニタースピーカーの前に立って音を聞く人と、ミキサー卓側でGEQなどを 調整する人だ。ハウスミキサー卓からモニタースピーカーをコントロールする場合も 同じだ。たいていは、耳で聞いてどの周波数帯域をコントロールすればいいかが分かる人が モニタースピーカーの前に立って、まだよく分からない人がGEQの操作を行なう。 実際にはどのようなことをするかというと、マイクを持って声を出しながら、 モニタースピーカーの前に立って、自分が出している声をモニタースピーカーに返してもらう。 その音を聞きながら○○Hzをあおって(上げて)とか、××Hzを3デシ(3dB)絞って(下げて)というような指示を出す。 それを繰り返しながらモニタースピーカーの音を作っていく。 その時、時間があれば、練習のために分からない人が指示を出す役目をする場合もある。 このモニタースピーカーのチューニングを誤ると、ハウリングしやすいモニターに してしまったり、音がぼやけてモニターの役目を果たさなかったりと、実際に演奏したり 歌ったりした時に、色々と支障が出てくる。それはモニターミキサーの人の 責任になるわけ。このことは当然のことながら、モニターだけでなくメインのスピーカーに対しても いえること。メインのスピーカーはお客様に向けられているわけだから、 そういう意味からするとハウスミキサーの責任は更に重くなる。 だから、スピーカーのチューニングがある程度できないうちは、 モニターであれハウスであれミキサーは任せられないっていうのがPAのプロの現場。 そのためか、ステージマンは3番手、モニターミキサーは2番手、ハウスミキサーは1番手 なんて言われ方もするらしい。 が、しかし、アマチュアの場合はそうも言ってられない場合も多い。 多少変な音を出そうが、本番でハウリングしようが、白い目を向けられながらも PAをやらなければならないのが、アマチュアで音響担当に選ばれし者の定めじゃ。 ふぉっふぉっふぉっふぉっ。 少しでも音を理解し、まともな音を出せるようになるためには、一にも二にも チューニングの練習を積むしかない。精進あるのみである。

Atsushi Hirai; 2006-01-01 open; 2006-01-01 update Mail to