実際に出演者に演奏してもらったり歌ったりしてもらってチェックをするっていうのがリハーサル。 何をチェックするかによってやり方は変わってくる。
それぞれの楽器ごとに音を出してもらい、それをミキサー側でチェックする。 ステージ側では各楽器ごとに個別に音を出してもらう。ミキサー側ではマイクまたはラインからのミキサーへの入力を確認し、 ヘッドアンプやパッドなどの音量レベルの調整、チャンネルごとのEQの設定、その他各チャンネルに外部エフェクタを接続している場合は その調整を行なう。この段階でどこまで音を作り込むかはミキシングする人のやり方にもよるし、演奏者のレベルにもよる。 あと、チェックの時間がどれだけ取れるかにもよるな。 なので、以下参考。ヘッドアンプのゲインだけ大体合わせて、チェンネルのEQの設定なんかは後で曲を演奏しながら行なうという場合もあれば、 この段階でEQや外部エフェクタの設定である程度音を作り込んでしまう場合もあるだろう。また、ドラムスなどはタイコやシンバルごとにたくさんのマイクが 立てられることも多い。そこで、太鼓を一つ一つ叩いてもらってそのタイコに向けられたマイクを一つ一つ個別に調整する 場合もあれば、適当にドラムを叩いてもらった状態で各チャンネルのEQを調整する場合もあるだろう。演奏してもらうというよりは それぞれの楽器や声を出してもらって、マイクごとのミキサーの調整をある程度行なうってのが、ここでの作業。
実際の曲を演奏してもらって全体の各チャンネルごとの音量バランスをとり、EQやその他のエフェクトを調整し、 演奏全体の音を作りこんでいくのがこの作業。ステージ上の演奏者はこの時、自分に向けられたモニタースピーカーの チェックを行い、必要ならばモニターミキサーに注文を出すことになる。「自分の声をもっと返して欲しい」とか、「ピアノの音を もう少し絞って」とか、「もっとHiを上げて」とか、「Lowを絞って」とか、演奏者は自分が演奏しやすいように、 歌いやすいようにどんどん注文を出してくるので、その注文に応じてモニターミキサーはそれぞれのモニタースピーカーの音を作っていく。 また、メインスピーカーの音に対しては、そのイベントのプロデューサーやディレクターから注文が来るかもしれない。 もっと「ベースを大きくして欲しい」とか、「ボーカルが大きすぎる」とか。それに応じてハウスミキサーは メインスピーカーの音を作り込んでいくことになる。ハウスミキサーがモニターミキサーを兼ねている場合は、 もちろん、同時進行で行なうことになる。効果音やカラオケなど、ポン出しがある場合は、そのタイミングも 合わせていく必要がある。ミキサーマンの神経が最も研ぎ澄まされる時だろう。ステージマンはこの時何をしているかというと、 ミキサーマンの指示に従って、マイクやスピーカの位置や向きの微調整や、モニターやハウスのおとのチェックを 行なうことになる。何も言われなくともミキサーがどんな動きをしているのか、どのような操作をして、それによって音がどのように変わるのか、 客席の前後左右、場所によって音がどのように変わるのか、機材の設定はどうなっているのかなどなど、学ぶべきことは多い。 演奏内容はケースバイケース。開演から終演まで本番とまったく同じように進行させて行なう場合もあるだろうし、 2〜3曲演奏してリハーサル終了なんて場合もあるだろう。リハーサルもなしでいきなりぶっつけ本番なんていう 恐ろしい状況も体験するかもしれない。そうならないように事前に打ち合わせや準備をしておくのも、音響の責任者としての 勤めでもあるが、そのような状況を予測できたにもかかわらず、様々な事情であえてそのような状況で やらなければならない場合だってある。それぞれの状況に応じてミキサーは音作りをしなければならない。 いつでもじっくり音を作り込めるわけではないのだ。しかしながら、どんな状況であってもある程度のレベルで コンスタントに音作りが出来なければ、信頼を得ることは難しくなる。
Atsushi Hirai; 2006-01-01 open; 2006-01-01 update Mail to