音声がマイク内部で電気信号に変換された後、その電気信号はマイクのコネクタ端子から外部へ送出される。 その後は、ミキサまで辿り着かなければならないのだが、ミキサまでどうやって信号が伝わっていくかということ。 なんていうと難しそうだが、コードやケーブルでミキサに送出されるのか(ワイヤード)、電波に乗せてミキサに送出されるのか(ワイヤレス) ということだ。ケーブルでつなげるマイクの場合はケーブル1本あればミキサとつながる。ケーブルの質や長さにより 若干の音質劣化はあるだろうが、PAにおいてはさほど問題となることもない(レコーディングスタジオなんかでは 問題になることもあるだろうが・・・)。一方、ワイヤレスシステムを使う場合には送信機と受信機のペア、それに アンテナが必要だ。ハンドヘルドタイプのマイクの場合はマイク本体に送信機が内蔵されている場合が多い。 これなしには電波のやり取りは出来ない。その分お金が掛かる。ワイヤレスシステムの場合は ワイヤードに比べ最低10倍〜20倍のコスト増になる。そしてワイヤードに比べたら 間違いなく音質は悪い、歪みやすい(音が割れやすい)、常時ノイズが混入する可能性がある(トラックの無線や 携帯電話の着発信でもノイズが入ることがある)という音質面でのデメリットはかなりある。 携帯電話、無線機、アンテナで受信するTV、ラジオなど、一般的に電波でやり取りされる 音声を考えてみれば分かるだろう。したがって、音質重視のレコーディングでワイヤレスが使われることはまずない (もっとも、レコーディングでは動く必要もないからね)。そしてワイヤレスは電池切れを常時 考えておかなければならない。そんなデメリットだらけのワイヤレスも、マイクを持って 動き回れるという唯一のメリットにはかなわないらしい。「ザァ〜〜〜」というバックグランドノイズが かなりのレベルで聞こえていてもPAにおいてはそのメリットが優先されることがある。 使う側が使いたいといえばそれに従うしかないだろう。しかしながら、音質面のデメリットも 以前に比べたらかなり改善されてきていることは確かだ。
Atsushi Hirai; 2006-01-01 open; 2006-01-01 update Mail to