これは文字通り風(ウインド)を防ぐついたて(スクリーン)だ。
風や人の息でマイクに「ブフォッ」というような音が入るのを防ぐ役割をする。
業界用語ではこれを「吹かれ」という。ウィンドスクリーンは吹かれの防止策のひとつだ。
マイクの外につけるタイプもあるし、SM-58のように、グリル内に吹かれ防止用のスポンジが内蔵されているものもある。
ウィンドスクリーンを使うということは、マイク本体と音源(人の口や生楽器)との間に障害物が入るわけで、
当然音質にも影響を与える。なので、できれば使わないで収音できる方がいい。
マイクに向かって息を吹きかけることを考えると、「ふ〜」って息を吹きかければ、
何もない状態よりも、その息の部分は湿気が多い状態になる。
マイクには過剰な音圧が掛かることにもなる。息の圧力というのは普通に話したり歌ったりするよりも、数段大きいのだ。
マイクとしては最悪の状態だ。特にレコーディングで多用されるコンデンサマイクは湿気に弱い。
しかも、雑誌で紹介されるようなプロのスタジオで使われているコンデンサマイクは高価なものが多い。
アマチュアならもちろん、プロだってふとしたことで息を吹いてしまうこともあるだろう。
そんなこんなで、「吹かれによるマイク自体の特性を悪化や寿命の低下」と「ウィンドスクリーンによる音質劣化」を天秤にかけると
ウィンドウスクリーンを使うことを選択するということになる。そんなわけで、雑誌に載ってるようなレコーディング風景では
必ずといっていいほどボーカルの収録にはウィンドスクリーンが使われている。一方、楽器の収録で使われることはめったにない。
大抵の楽器はマイク吹いたりしないからね。
PAでは動きもあるし、レコーディングのようなウィンドスクリーンは使えないし、見栄えも悪い。
というわけで、ボーカルマイクはSM-58のようにグリルの中にスポンジが内蔵されているようなものに落ち着いているわけだ。